「日本は条件社会だ」

「条件社会ってなんだい」
「異常に生産的なこの社会を維持するのに個人個人に課されてるノルマが多すぎるってことだ」
「たとえばなに?」
「ものの考え方から発言内容までガッチリ決まってるだろう」
「確かに。憲法に書いてる人権の理念とむちゃくちゃ矛盾してるね」
「そうだ。自然権を与えたと言いつつ、すべてが人為的に条件づけられてるんだから、スジもクソもない」
「日本ってどうしてこういう矛盾を平気でやるの?」
「日本人一般に科学力がないからだよ。憲法理論は特殊な日本人が外国で勉強してまとめあげたものだが、一般日本人がそれについていってない。それ、飾っておくだけで中身がないということになる」
「なるほど。ところで教育で人権理念を教えるけど、社会にそれがないってひどいね」
「そうだ。あれは国家的詐欺だ。リアルは条件社会なのだから条件社会の教科書を作って教えるべきなのに、人権社会の教科書を作り、自由に振舞っていいかのような印象を子供に植えつける。まったく不合理だ」
「文部科学大臣と官僚は死ぬべきだね」
「そうだね」


「それでも金がないとできないことが多い」
「そりゃそうだ。だが高い価値のあることは金ではできないことが多い」
「たとえばなんだ」
「そもそも金という約束を作り出すとかだな。金は人が作るのだ、知恵を使って」
「ほかは?」
「金だけじゃない。社会には無数の約束がある。それを作ることの価値の大きさは金どころじゃない」
「確かにそうだ」
「しかしもっと価値あることがある」
「なんだ」
「約束といっても真理からウソまで玉石混交だ。普遍的真理に近い約束を追求することがすばらしい。それは真の意味での学問だ」
「日本の約束はどうなのか」
「石ばかりだ。たとえば試験とか流行語とか弁護士とか似非学者とかな。最近は特にクソでみてられない。これでは約束を作る行為の価値も暴落だ」
「これからどうすべきなのか」
「約束を超える真に人間的な営為によって真の文明を作ることだ。ヨーロッパがしたように。この点からすると日本などまだまだだ。というか三流国家だな。日本にはまだ何もない」