「新卒一括採用ってのがあるよね」

「なんで新卒だけ一括採用するの?」

「そういう慣行なんだよ」

「大学って学問するために入るところだよねえ。学府の卒業予定者を営利企業が一括採用するってどういう経緯でそんな慣行になるの?」

「慣行ってのはなんとなくそうなったんだよ。理由はないよ」

「なんだそれ。全然合理性がないじゃない。仮に新卒一括採用を認めても、新卒と既卒でどんな違いがあるのかな。まさか学力が低下するとはいわないよねえ。事実上そんな法則ないし、新卒と既卒は実態上何の違いもないじゃない。」

「それはそうだけど・・・」

「それに日本の憲法は労働義務は認めていない。あくまで倫理上の勤労義務を規定しているだけ。ところが新卒一括採用は事実上労働義務を認めたに等しいし、第二に、学府卒業の新既で営利企業での採否が著しく異なるなんて差別的で不合理な慣行は公序良俗違反で無効だ」

「・・・」

「労働義務もなく、倫理的な勤労義務しか認められていない憲法制度の下では、新卒一括採用慣行は事実上国民に労働義務を認めるようなもので、憲法に違反する」

「ごめん、うそついた。本当は新卒一括採用なんてないんだよ。いつでも就職できる」

「何でうそをついたんだ」

「だって卒業と同時に組織に入れてしまわないと何をするか分からなくて怖いじゃないか。」

「なんだそのものの考え方は。貴様の考え方では国民は基本権を享受しえないじゃないか。」

「うるせーよ。大体日本に憲法なんかあるかよ。法律もねえよ。人権なんかあるかよ。新卒一括採用もあるよ。」

「は?おまえ、さっき、新卒一括採用ないっていったじゃん。はい、矛盾一個。ところでおまえが持ってる書類、それ労働基準法じゃないの?おまえ、さっきそれを基にして理屈言ってたよな。なのになんで法律がないとか言ってるの?矛盾二個。おまえ、めちゃくちゃじゃん」

「うわああああああああああああああああああ」