「俺は金持ちだ」

「ただの紙切れだ」
「紙切れでも社会的価値がある」
「金で買えないもののほうが重要だ」
「仕事には価値がある。金は仕事の結果だ」
「仕事自体に価値はない」
「どういうことだ」
「税金泥棒に給料泥棒。それにお前がいなくても社会は支障なく回る。やはり仕事に価値はない。会社が金をくれる本当の理由は?」
「・・・」
「会社に監禁されてることに対する政治的見返りこそ金の本質だ」
「なるほど」
「監禁への謝礼に何の価値がある」
「確かにない」
「分かったらカネカネ言うのを止めるんだ。」
「それでも金がないとできないことが多い」
「そりゃそうだ。だが高い価値のあることは金ではできないことが多い」
「たとえばなんだ」
「そもそも金という約束を作り出すとかだな。金は人が作るのだ、知恵を使って」
「ほかは?」
「金だけじゃない。社会には無数の約束がある。それを作ることの価値の大きさは金どころじゃない」
「確かにそうだ」
「しかしもっと価値あることがある」
「なんだ」
「約束といっても真理からウソまで玉石混交だ。普遍的真理に近い約束を追求することがすばらしい。それは真の意味での学問だ」
「日本の約束はどうなのか」
「石ばかりだ。たとえば試験とか流行語とか弁護士とか似非学者とかな。最近は特にクソでみてられない。これでは約束を作る行為の価値も暴落だ」
「これからどうすべきなのか」
「約束を超える真に人間的な営為によって真の文明を作ることだ。ヨーロッパがしたように。この点からすると日本などまだまだだ。というか三流国家だな。日本にはまだ何もない」