日本社会の現実は政官財一元論

ちなみに日本の現実社会を支配する論理は、政官財が設定する規律に従うという「一元論」です。よもや「多元論」ではありません。ただし、政官財はみえないところに隠れているので、市民からみると多元論にみえなくもないときがあります。しかし、それは、政官財の規律の内容が「経済のために多元的材料を調達することを目的としている」から、そうみえるだけで、本来の意味の多元論ではありません。本来の意味の多元論は、そのように誰かの意図の下に統合されておらず、ただ多元的なものを自然のままに維持しておくものです。日本では、多くのものを一元的なもので統括しているだけなので、実は一元論の論理なのです。学者は一元論と多元論の統一などを夢想していますが、そのようなことは不可能であり、もしそのようなものが可能になっているようにみえるとすると、それはただの一元論です。