教科書と現実が違うことの意味

たしかに学校教育法はりっぱな理念を掲げ、学習指導要領も詳細な細則を設けているが、実はそれが遵守され、しかも生徒に身につくことについてはなんら保障されていない。なぜならば。理念と方法が書いてあるものの、その抽象性をいいことに試験の実質的内容は丸暗記試験という実態にしていたりすることで、巧妙に理念を骨抜きにしているからだ。このようなものは、法の目的と手段の間に合理的関連性がないので、憲法違反なのだが、学校教育法を争う裁判がないのと、あっても違憲にはされにくいことで、合法性の推定のまま事実上無意味な教育法が生き延びており、これが、教科書どおりの現実をつくらない巧妙な仕組みである。