ラグランジアンに関して,数学,物理的に重要なのは,粒子は運動エネルギーと位置エネルギーの差の時間に対する積分が最小になるように運動する,という最小作用の原理を発見することと,これを数式化し,そこに変分問題を発見し,これを解く解法を編み出すところにある.これを独力でやろうとしなければ,理学なんてやったことにはならない.日本の理学部における理学呪術は,これら肝心な点を外国任せにし,自分はもっぱらそれら前提の結果と筋道だけを覚えて,できれば呪術化して,いかにも高度な知識かのように読者を幻惑させているだけである.ところが日本の社会環境は,理学呪術を身につけることを奨励し,本物の理学をやろうとしたら日々の生活もままならないように仕組まれているのである.